遺産分割協議がこじれると遺産分割調停が必要になる?

遺産分割調停なんて必要ない?

我が家の仲は良いから大丈夫、争うような大きな遺産がないから問題ないと言う人も少なくないですが、いざ遺産分割協議をすることになると思った通りに進まないことも多いのです。
被相続人が生きていた時には争うような気配が感じられなかった場合でも、相続が発生すると共に様々な主張や不満が出てくることもあります。

例えば、兄弟間での進学や結婚に対する援助などに対する不公平感、親の介護への関与度など不満は様々で、家族でも気づいていなかった相手の感情にびっくりすることも少なくないのです。
また、遺産は何もいらないと言っていた兄弟が、思った以上に子供の進学費用がかかったため、少しでも取り分が多くなればと考えて、権利を主張し始めるといったケースもあります。

このように遺産分割が話し合いで調わないというのはお金持ちだけの話ではなくて、実際に家庭裁判所に遺産に関する手続を申し立てる人の7割は遺産総額が5,000万円を超えていないのです。
このことからも分かるように、遺産分割の話し合いがこじれてしまうことは他人事ではないので、そのような時に裁判所を通じて利用する「遺産分割調停」に関して知っておく必要があります。

知っておきたい遺産分割調停の基本は?

実際、遺産分割の話し合いがこじれてしまった時には、家庭裁判所に遺産分割調停の申し立てをすることになります。
それは、遺産分割について共同相続人の間で協議が調わない時、また協議をすることができない時には、各共同相続人はその分割を家庭裁判所に請求することができると民法に定められています。
ですから、協議をしてみて物別れに終わった時はもちろんのこと、相手に連絡しても無視されて話し合おうとしないと場合であっても、遺産分割調停を申し立てることができるのです。

遺産分割調停の申し立ては、相手方の住所地の家庭裁判所か当事者が合意して定めた家庭裁判所に申立書を提出することになります。
ちなみに調停手続きに必要となる費用は、調停手続きの収入印紙代の1,200円と裁判所が定める金額の郵便切手代程度で、弁護士などに頼んでいればそれほどお金はかかりません。

遺産分割調停の進み方としては、まず相続人の範囲・遺産の範囲などの前提問題を確定させます。
実は、預貯金などをめぐって兄弟が使い込んでいたという主張が出るケースも少なくないもので、それをどこまで持ち戻すかということだけでも結構揉める場合があるのです。
そうした問題を解決して相続人と遺産が確定したら、遺産の評価額や特別受益・寄与分などを考慮した上で具体的な分割方法について合意の形をはかって行くことになります。

遺産分割調停が成立した場合と不成立になった場合

こうした遺産分割調停において当事者全員の間で遺産分割に関する合意が成立した時には、その内容を調書に記載することで調停成立となります。
この調停調書の記載内容としては、遺産の内容と取得者・被相続人関連で支出した費用の負担者の確認・今後はお互いに何の債権債務関係もないこと、調停費用の負担割合などの定めです。
また調停調書の記載は確定した審判と同じ効力を持つことになります。
ですから、そこに記載している給付条項に従わなかった場合は、給付を請求する権利がある人は相手方に対して強制執行をかけることができます。
つまり、財産を差し押さえてそこから給付を受けることが可能になるのです。

一方、当事者に合意成立の見込みがない場合や、成立した合意が相当ではない場合には、調停委員会は調停が成立しないものとして終了させることができます。
このように遺産分割調停が不成立になった場合は、調停の申し立て時に審判の申し立てもあったものと考えられるため審判手続きに移行することになっているのです。
この審判というのは、適切な遺産の分け方を家庭裁判所の主導で決めてもらうもので、離婚案件と違って調停をしないでいきなり訴えなどを提起するといったことはできません。

しかし、実際には遺産分割については調停前置主義をとっていないので、最初から審判を申し立てることも建前上は可能なことなのです。
ただ実務では、調停で解決できればその方が望ましいと考えられていることから、調停が不成立とわかった時点で初めて審判を申し立てる方が流れとしては効率的と考えられているのです。
どうしても当事者だけでは感情的になってしまうことも少なくないので、遺産分割協議がこじれそうになったら冷静な第三者となる家庭裁判所に委ねるのも良い場合もあります。

遺産分割調停を申し立てる時の豆知識

豆知識のひとつめは遺言書の効力は絶対なのかという点ですが、実は相続人全員の合意があれば遺言書と異なる内容で遺産分割協議しても良いのです。
2つ目は遺産分割の対象財産と相続税の対象財産は考え方が少し異なるので混同しないように把握することが大切です。
その他にも相続開始前の贈与・相続人の確定は細心の注意を払う・遺産分割調停は弁護士が代理人として非常に役に立つなどを豆知識として知っておくと役立ちます。
参考:遺言書パーフェクトガイド